続・Googleマップの「ストリートビュー」の恐怖。

昨日書いたこの記事だけど、予想以上に反響が大きかった。多くの方に、ブックマークしていただいたのに加え、

こちらのサイトで取り上げていただいた結果、大きくページビューを伸ばしているようだ。先の記事での自分の目論見としては、「ストリートビュー」の怖さについて少しでも多くの人に知ってもらうことだったので、深く感謝したいと思う。また、これまで細々と、はてなダイアリーで日記を書いてきたが、これほどのアクセスがあるのは初めてだ。改めて、はてなブックマークと、影響力の大きいサイトの威力を感じた。
そこで、はてなブックマークでも多数コメントを頂いている他、トラックバックもいただいているので、さらにこの問題を深く掘り下げてみたいと思う。


まずはこちらの記事。


その時、車の下にジャッキ用途で石のブロックを噛ましてあったんですが、そのブロックが3個なんです。
タイヤ4個の盗むんだからブロックも4個って、考えるのは素人考えなんですね、きっと。
これは驚いた。タイヤ&ホイールを盗まれた時、よくブロックが噛ましてあるという話は聞くけれども。当然、タイヤの数だけブロックも4個だと思っていた。プロは3個なのか。そこまで合理的とは。呆れるより感心してしまう。また、タイヤ&ホイール盗難と言えば、

先日、友人のid:yamagw氏が被害にあったばかりだ。氏の場合、装着していたタイヤ&ホイールではなく、スペアのスタッドレスタイヤだったので、より簡単に盗めただろう。諸外国と比べると、日本はまだまだ安全という意識があると思うが、身近でこんな話を聞くと防犯意識を高めなきゃ、っと切に思う。id:yamagw氏も車両本体をヤラレないように本当に気をつけてネ。


でも、重要なのは、悪いヤツはGoogleではなく車泥棒です。モラルの欠けた奴らです。
拳銃が悪いのではなく、拳銃犯罪を起こすやつが悪い。
これは正論だと思う。確かに、Googleを恨んだところで意味はないかも知れない。ただ、どうしても違和感は残る。Googleは「公開することは正義」と考えているのかも知れないが、そこに自分はある種の傲慢さを感じるのだ。
例えば、Gmailのサービスが開始した時も、ずいぶんプライバシーを巡って議論があったように思う。いや、国内ではあまりなかったかも知れないが、米国では議論されている、というニュースを何度も見た記憶がある。しかしながら、Gmailは使いたくなければ、使わなければ良い。Gmailを使ってない者にとって、プライバシーの侵害は無い。もちろん、友人のメールアカウントが「@gmail.com」かも知れないし、友人に出したメールが「@gmail.com」に転送されているかも知れない。自分の出したメールの内容が、Gmailによって字句解析された結果、メール本文の隣に、適切な広告が表示されているかも知れない。確かに宛先の友人以外の第三者(人間でなくとも)がメールの内容を閲覧できる状態にあるのは、気持ちの良いものではないけれども。メールサービスなんていうものは、そもそもインターネットの黎明期より、セキュアではなかった。基本的に平文でリレーされるので、中継拠点には丸見えだ。第三者に見られるのがイヤならば、暗号化するしかない。そして、少なくとも自分は、幸か不幸かそれだけの手間をかけてセキュリティを必要とするような業務には従事していない。
ところが、Gmailと違って「ストリートビュー」の場合は、映らないようにすることが難しい。車の場合、乗らないときは常時カバーをかけておく他ないし、自宅にカバーをかけるのは不可能だろう。実際、ラブホテル前、キスシーン、立ち小便、等々様々なシーンが公開されているらしいが、果たして単純にモザイクをかければ済む問題だろうか。少なくとも、自分が日記に写真を貼るときは、他人の顔やナンバープレートにモザイクをかけたりするのは当然として、それ以外にもずいぶん慎重に写真を選んでいる。これは載せるべきか、載せないべきか、熟慮の末に決めることも多い。それが機械的に全部撮った写真を全部載せる、モザイクも自動的にかける、気に入らない写真があれば報告しろ、ネットに接続できないヤツのプライバシーなんて知ったこっちゃねえ、という態度は傲慢以外に思えない。Googleは公共サービス的側面は持っているが、あくまで一私企業に過ぎない。撮影がやめられないのであれば、Googleはせめて「ストリートビュー」の撮影車(プリウスらしいが)を走らせるルートとスケジュールを公開すべきではないか。


次はこちらの記事。

ストリートビュー」を見ている側のアクセスログは取られている、という話。また、Gmailにログインしたまま、「ストリートビュー」を見ればユーザーのひも付けも可能、とのこと。
技術的にはおっしゃるとおりだと思うのだけど。果たして、周到に下見をしてから泥棒に行くような確信犯が、そんな初歩的なミスをするかな、っとちょっと思う。

等々、自宅のプロバイダ経由のインターネット以外にも、ネットにアクセスする方法はいくらでもある。あまり泥棒に具体的なアドバイスはしたくないけれど。(苦笑


以下は、はてなブックマークのコメントより。


車自慢ですね、わかります
このコメントは一番グサッと来た。自分の心が見透かされているようで。でもご指摘の通り、確かにそれは少しあると思う。自慢したいがために書いた記事ではないけれども。自慢したいならちゃんと写真を載せるし。(笑
ただ、この日記を長くご覧の方はご存じだとは思うが、ランエボに至るまでの道のりもけして平坦ではなかったし、今、自分が自慢できるような財産はこれだけしかないので、どうか生暖かい目線で見守っていただければと思う。思えば、前に乗っていた14年落ちのEGシビックであれば、いかに無敵だったか。ホイールやタイヤはともかく、車両本体は絶対に盗まれない自信があった。(苦笑



懸念の意見の中では今のところ一番説得力があった。ただ、どこにその車種があるかって
情報までは検索できないのではないかとも思う。泥棒のCGMでもない限り。
さっそく、2chには「【グーグル】かっこいい車を貼るスレ【マップ】」というスレッドが立ったようだ。URLは貼らないけど。現時点で、まだ記事はほとんど投稿されていないが、こういった掲示板なり、mixiのようなコミュニティなりで、活発に情報交換されるようになると危険性が高まるように思う。また、某掲示板では、実際にランエボが駐車中の写真へのURLが貼られていた。自分がもしその車のオーナーだったら、即座に掲示板とGoogleへの削除申請をするだろう。その手間を考えると、面倒な時代になったな、という印象は拭えない。
あるいは、泥棒専用のクローズドなMLでは、今も活発に物色しやすい物件の情報が飛び交っている、というのは妄想のしすぎだろうか?



道路から見える場所には金目のものを置かない、というのが「ストリートビュー」時代の常識になるのかも。
確かに、これまでも道路から見える場所に金目のもの置く習慣はなかったと思うけれども。道路から見える場所を見ているのが近所の人だけではなくて、世界中の人に見られる可能性が出てきた、というのが「ストリートビュー」時代の脅威なのだと思う。隣人に泥棒はいないかも知れないが(いるかも知れないけど)、世界中には間違いなくいっぱいいるわけで。



さらに、はてなブックマークのコメントに追加があったので、それについて書いてみたい。

これに対して「金持ちの事情など知るか」というワープアからの罵倒が沸き起こったり
したらなかなか楽しい。
記事を良く読んでいただければ分かると思うのだが、「かなりの金持ち」であれば何ら心配はない。文中でも書いたように、彼らはシャッター付きの屋内駐車場にセコムを付けるハズだからだ。問題はそこまでではない層だ。望んで青空駐車をしている者はいないと思うが、車のためにわざわざ屋内駐車場を持てるほどの経済的な余裕がない層。具体的に言えば、ランエボは新車での車両価格がだいたい300〜400万円だ。確かにカローラと比べれば高いかも知れないが、ポルシェやフェラーリランボルギーニと比べればはるかにリーズナブルだ。それでも「金持ち」だという指摘はあるかも知れないが、他人の台所事情など人それぞれだ。

この記事にも書いたが、世の中には年収200万円台のフェラーリオーナーだっているそうだ。年収200万円台のフェラーリオーナーが果たして「金持ち」といえるだろうか? おそらく収入の大半を車の維持費に費やしているハズだ。フェラーリに乗りながらも、裸電球の下カップ麺をすすっている姿を想像すると、ちょっと目頭が熱くなる。自分だって「金持ち」ではない。全財産をはたいてランエボを買ってしまったからだ。実際、ちょっと無理してガンバって維持している。「車持ち」かも知れないが、少なくとも「金持ち」ではない。ランエボオーナーには、そんな人だって少なくはないハズだ。


もう一点。バブル崩壊以降、あるいはその後の失われた10年以降、この国では格差社会が叫ばれて久しいが、格差社会の本当の姿は「(経済)階層社会」であると、自分は思っている。つまり「金持ち」vs「貧乏人」とか、「勝ち組」vs「負け組」といった、単純な両極端の話ではなく、積み重なる経済階層の中で自分がどこに所属するか、という話だ。前述のURL中の記事にも書いたが、そこではリッチであればハッピーである、という単純な構図は必ずしも成り立たない。問題は、数ある経済階層の中で自分が納得のいく、ポジションを取れるかどうかだ。それには努力をしたいものはすれば良いし、したくないものはしなければ良い。また、努力だけではどうにもならない面もあるだろう。おそらく、自分自身のアウトプットとその結果得られた、ポジションが納得いくものであれば、その人は経済的にハッピーだと言えるのではないか。ワーキングプアの問題は、労働者自身のアウトプットに対して、その結果得られる経済階層におけるポジションが不当に低いことへの問題だと理解している。


だから、盗難率の高い車を所有する者が、必ずしも「金持ち」とは限らないし、またワーキングプア層からすれば、階級闘争*1の相手たり得る「既得権益層」であることにもつながらないのである。

(20:03、追記)

*1:持論に厳密に言えば「(経済)階層闘争」だが。