「Google Chrome」は「Google PC」の布石となるか？
なんかGOOGLE＋車ネタは反応しなきゃイケナイ義務感を感じるのでちょっとコメント。
PC(Windows)を買うとブラウザ(IE)はオマケで付いてくる。これはもともとはマイクロソフトがNetscape(Navigator)をつぶすためにとった戦略だ。自分の記憶が確かならば、Windows95（無印）ではブラウザの標準搭載が間に合わなくて、「Plus!」で対応させたと思う。当時のバージョンは、IE3だっただろうか。*1
「自動車よりもブラウザを使う時間が多い」という米本社のエンジニアは、
「車は試乗してから買うが、ブラウザでは同じことがされていない」と嘆いていた。
このように、ブラウザに選択肢があることはあまり知られていないだけでなく、
「ブラウザって何？」という人もいる。
歴史的に見れば結果として、MSの思惑通り、Netscapeは先のブラウザ戦争に敗れ、IEが事実上のスタンダードとなった。開発者の立場からすれば、97年頃は必ずIEとNetscapeの両方のブラウザで動作チェックをすることを余儀なくなれたし、当時から両者のJavaScriptの互換性の無さには泣かされてきたので、標準ブラウザがIEだけになることは必ずしも悪いことばかりではないように思う。こうやってMSは常に自らがスタンダードとなることによって、コンシューマに互換性を提供してきたわけだ。
さて、話を戻すが、現在の一般消費者にとっては、PCイコールブラウザ(IE)だと言っても過言ではないだろう。これまではよくWeb＋メール的な表現をしてきたが、いまやGmailをはじめとしたWebメールが実用に十分な状況になっているので、PCイコールWebと表現してももはや大半のユーザーにとっては問題は無いのではないかと思う。かつては、PC初心者にセットアップを頼まれたときは、必ずOutlookExpressの設定がつきまとったものだが、最近はGmailで事足りる。ここで極端に言えば、一般消費者がPCを買うということは、ブラウザを買っているようなものである。しかもそれは必然的にプリインストール済みのIEとなる。大半のユーザーはそれで満足しているし、それ以外に選択肢があることも知らない。その上、世の中のほとんどのWebサイトはIEを対象に作られているので、それで特別問題が起こることもないし、むしろ互換性上の問題が起こるとすれば、IE以外のブラウザを使ったときだ。
なので、以上を前提とすれば、上記記事中でGoogleのライナス・アップオン氏が言うように、Webブラウザについても試乗してから車を購入するのと同じような状況を作り出すには、Googleは「Google Chrome」をプリインストールした、オリジナルのPCを販売すべきだろう。もしかすると、そのような「Google PC」を将来的に販売することを前提として、Google Chromeを開発したのではないかという気さえする。そうすれば、一般消費者はPCを買うときに、IEの入ったWindows PCとGoogle Chromeが入ったGoogle PCを比較した上、店頭で試用して購入することが出来る。これは消費者にとっては選択肢が増えるという意味で良いことだと思う。もっとも、Google Chromeが十分にIEとの互換性が高かった場合の話だが。
さて、以上は一般消費者向けの話だが、実際は自分の好みでブラウザを選択する人々も決して少なくはない。そのような人々にとって、現在もっとも愛用されているのは、Firefoxだろう。ブラウザ戦争真っ只中の時代からIEが大好きだった自分も、IEは捨てきれないものの、いつの間にかFirefoxがメインのブラウザになってしまった。それ以外だと、OperaやSafariという選択肢もある。当面のGoogle Chromeの課題は、これらのブラウザのシェアをどれだけ奪えるか、という点だろう。ちなみに自分の場合は、Firefoxで満足してしまっているので、よほどの理由がない限り、これを他のブラウザに替える動機はない。Safariも試しにインストールしてみたし、iPhoneやMac miniではメインブラウザとして使っているが、Windowsでは結局、Firefoxを使っている。OperaはM1000の標準ブラウザだった上に、M1000にはOpera miniをわざわざインストールして使っていた。また、かつてWindows上でも仕事で動作検証用にOperaを使っていたことがあるが、今はPCでは使わなくなってしまった。そもそも、よほどのブラウザマニアでもない限り、頻繁に使用するブラウザを切り替えて使う動機は存在しないのではないか。そう考えると、Google ChromeもよほどのGoogleマニア以外に普及するには時間がかかるだろう。
*1:もし間違っていたら、お手数ながらぜひコメント欄でご指摘願いたい。
