アウディTTSクーペってフルタイム4WDなの?

この記事では、「FFベースのフルタイム4WD」とあるが、TTSクーペのベースとなる、アウディTTはハルデックス・カップリングを用いた95:5のトルク配分を基本とする、通常時はほとんどFF仕様の4WDのハズ、である。ハルデックス・カップリングとは、通常は95:5のほとんどFFのトルク配分だが、前輪がグリップを失う瞬間に最大で後輪に50%のトルクを配分する、電子制御の4WDである。このシステムを踏襲するなら、TTSクーペも同様にハルデックス・カップリングを採用した、ほとんどFF仕様の4WDなのではないだろうか。疑問に思い、色々と検索してみたが結局、よく分からなかった。もちろん、95:5のトルク配分であっても、パートタイム4WDでない以上は、フルタイム4WDと呼んでかまわないのだろう。しかしながら、一般的にはフルタイム4WDと言えば、センターデフ4WDを指す場合が多いと思われるので、トルクスプリット4WDであるハルデックス・カップリングをフルタイム4WDと呼ぶのは、少し違和感を覚える。
ちなみに、元来のいわゆるクワトロ・システムと言えば、センターデフに機械式のトルセン・デフを採用した、前後駆動力配分50:50の、いわゆるフルタイム4WDを指すのではないかと思うのだが。しかし、これは縦置きミッションなので、横置きエンジンのTTにもTTSにも採用することは出来ない。ゆえに、TTではハルデックス・カップリングを採用したと思われるので、TTとTTSの駆動系が大きく異なるとは思えないのだった。


さて、ここでもう一年ほど前の話になるが、アウディTTクーペ3.2クワトロに乗る機会があったので、そのときの印象を思い出しながら、記述してみたいと思う。ミッションは「Sトロニック」だ。*1
街乗りではごく普通の欧州車。まず始めにボディ剛性が高い。ブレーキは精度が高く、そしてよく効く。Sトロニックは全く違和感がなく、普通のトルコンATを扱うのと何ら変わらない。ただ、自分のランエボ9MRと比べて少々横幅が大きいので、少し扱いづらいと感じた。慣れの問題だとは思うが、車庫入れも少々手間取った。
峠に持って行くと、かなり面白かった。エンジンはトルクフルでランエボのような爆発的な加速はないものの、良く回るし十分に楽しい。おそらくEPSの特性のせいだと思うが、油圧パワステと比べると、違和感を感じる。どうしてもハンドルをこじってソーイングしないと、フロントのグリップと正確な舵角が確かめられず、なかなか攻め込めない。でも、自分はEGシビックでFFが長かったこともあって、FFベースの4WDには非常に親しみを感じて、楽しかった。やはりボディ剛性が高いのが、峠でも安心感につながるのだと思う。絶対的な速さでは、ランエボには及ばないと思うが、走っていて非常に楽しかった。
ところが高速道路に持って行くと、キャラクターが一変する。どうも速度計を見ても、それほどの速度には達していないのだが、体感で感じる速度が速いのである。これはランエボの場合、全く逆。ランエボだと、軽くアクセルを踏み込んで、まだたいした速度が出ていないと思っていたら、速度計を見てあまりの速さにビックリすることがある。アウディTTクーペの場合、調子に乗って飛ばすと恐いので、これでアウトバーンを200km/hで巡航するのは厳しいのではないかと推測する。まあ、日本の高速道路ではそもそも飛ばせないので、問題にならないとは思うが。理由はよく分からないのだが、ホイールベースが短い割に全幅が広いのでピッチングが出やすいのだろうか。とにかく高速で飛ばすと疲れると感じたのは予想外。
以上を総括すると、高速でイマイチだったのが残念だが、それ以外は悪くないと思った。ただし、問題は値段だ。¥5,890,000はいくらなんでも高過ぎる気がするのだが。*2お金に余裕がある人が、スタイリングに惚れ込んで買う車、といったところなのだろうか。それにしては、デザインのインパクトは初代と比べると、若干弱い気もするのだが。


参考URL:

*1:国内には、「Sトロニック」仕様しか導入されてないらしいが。

*2:ちなみに、TTSクーペは¥6,750,000である。(汗