恋愛は必ず100%破綻する。

「プレセペ特集[スカイ・クロラ The Sky Crawlers]」とか。押井守監督へのロングインタビューを含む。id:suke-sdk氏より。
以下、映画「スカイ・クロラ」について、(映画の具体的な内容にはほとんど触れていませんが)ネタバレしちゃうかも知れないので、知りたくない方はすみませんが、スルーしてください。


スカイ・クロラ」が恋愛映画だったことに今気付いた。(ぉぃ
「監督が大人になれたなと思ったきっかけというか、事柄はなんでしたか?」という質問に対する回答の中で、


世の中の98〜99%の人は、人間は職業を通して自分たり得る。仕事が自分であってさ。男の場合は100%そう。
これは共感できると思った。そして自分は今、大人じゃないんだな、っと思った。自分が大人だと感じたのは、20代後半、フリーランスプログラマとして、そこそこ稼げていたわずかな期間だけだったな、と思う。その後、30代に入る前にサラリーマンになったけど。そのとき、また子供に戻った気がする。雇われて、食わしてもらっている感覚は、自分にとっては子供の感覚だ。サラリーマン時代もそれほど長くはなかったけど。稼ぐことに関していえば、楽であり、そして同時にしんどい経験だった。つまり、納品して請求書を書かなくても、毎月一定額の収入が約束されているという意味では楽だったけれども。それを実現するために、会社に束縛されなければならず、それゆえお気楽ではいられず、自由ではない。今思えば、それもまた良い経験だったとは、月並みな感想として思うけれども。
では、結婚すれば大人になれるか、といえばそれは無いと断言できる。なぜなら結婚はエミュレータ環境でたっぷり経験済みだからだ。*1あ。ただし、相手を養っていくことを決心すれば、大人になれるのかも知れないけれど。自分がそれを決心することはたぶん、無いと思う。今、自分に出来るのは、せいぜい猫を養っていくことを決心するくらいのことだ。
文中の監督の言葉を借りれば、それが

自分は自分のためには大人になれないのであってさ。
誰かのために生きるということを決意しない限り大人になるなんてことはありえないんですよ。
っということなんだろう。ただ、ひとつ気になるのは、子供が生まれればまた変わるのかな、ってこと。そのとき、自分は大人になるのだろうかと、それは気になる。ただし、自分は繁殖はストレートに経済力だと思っている*2ので、それがある程度、保障されるまでは子供を作りたいとは思えないだろう。
インタビュー中にフーコの話が出てきたので、自分が擬似恋愛に惹かれる理由について。それはそれが完璧で破綻の無いものだから。二次元キャラへの一方的に注がれる愛情もそうだし、キャバ嬢や風俗嬢との擬似恋愛もそう。お金で買った商品であるがゆえにそれらはいかに現実的であっても、けして現実ではあり得ず、その時々の欲求を叶えるだけの擬似体験でしかない。だから破綻が訪れない。
監督が言う「恋愛というのは必ず100%破綻する。」という言葉は正しくて、結婚も心中も恋愛の破綻の形だとすれば、破綻しない恋愛は存在しない。破綻の後に待ち受けるのは、いずれも現実である。そして、押井守の映画的に言えば、恋愛とは非現実なのである。

*1:いや、脳内じゃないですよ。あくまでリアルな話で。

*2:参照→http://d.hatena.ne.jp/tmx/20080721/1216628548