押井守病末期患者が語る「スカイ・クロラ」の本質。

はじめに

  • っとゆ〜わけで、予定通り、「スカイ・クロラ」を見るためにダンバリング。*1
  • 以下、なるべくネタバレしないように感想を書くつもりだけど、ネタバレしちゃってたらゴメンナサイ。
  • 事前情報を知りたくない方は、スルーしてください。

序章

  • まず、パンフレットが売り切れていてガッカリ。
  • そして、期待したほどツマラナイ映画ではなくてガッカリ。
  • あまり押井守臭のしない映画。押井節を求めて見にいくと、物足りないかも。
  • なので、魚眼レンズが出てくると、激しく心が落ち着く押井守病(末期)の自分に気付く。
  • 押井作品と言えば、台詞のない、象徴的なレイアウトの作画を連続したカットでつないで見せるシーンが、見所の一つだと思っているのだけど。
  • 今回はそれがなくて正直ガッカリ。もっと観客をドーンと突き放してくれ。(ぉぃ

キャスティングについて

  • 谷原章介の演技が予想以上にかなり良かった。
  • 「王様のブランチ」での司会は時にやる気がないように見えて、あまり好きではなかったのだが、好感度アップ。
  • むしろ、加瀬亮菊地凛子は思ったほど印象に残らなかった。
  • 栗山千明は出演していたことに気付かなかった。(ぉぃ
  • 榊原良子の役の人は、ようは榊さん(パトレイバーの整備班長)だと思った。
  • いっそ榊さん(仮称)の声は阪脩で良い気がしたが、マニア向けのギャグにしかならないと思った。

作画とCGについて

  • キャラが全部同じ顔。まるで見分けがつかない。氏名の字幕を付けて欲しい(切実)。*2
  • 3D CGが冷淡で無機質。やっぱメカにセルの時代の暖かみはないな、っと思う。
  • 3D CGに合わせて、キャラも質感を整えられているようで全体的に無機質な印象。
  • 「空中戦は宮さんに負けない」的なことを押井守は言っていたけど、やっぱ空中戦はナウシカがベストだな、っと思った。
  • 映像的にはキレイなんだけど、戦闘シーンの映像は、とにかくまるでゲームそのもの。
  • やはり押井守が得意とするのは、モニタの上での戦争とか。レーダー上での戦闘とか。
  • そういった、少し視点を変えた、間接的な映像表現における、戦争なんじゃないかと思う。
  • 迫力はあったが、押井守的ではないし、戦闘シーンをまた見返したい、という欲求は沸かない。

脚本について

  • 押井作品にありがちな、物語終盤でのゴッソリとした省略が今回は感じられなかった。
  • なので、好印象。急速に物語を巻き取りにかかってるなー、っと言う印象はなかった。
  • ただし、ずいぶん長く感じた。121分なので、実際に長いのだが。
  • そういう意味では、演出上、キルドレの繰り返される日常の退屈さを体感させることに成功しているのかも知れない。
  • が、やはりちょっと長すぎる気もする。
  • 繰り返される戦闘シーンは3D CGの質感が無機質なこともあって、冗長かも知れない。
  • 戦闘シーンはバッサリと半分くらいにカットしちゃっていいんじゃないかな。むしろ無くても良いくらい。
  • 自分がプロデューサーだったら戦闘は全部カット。3D CGは全面禁止。
  • 「只今、戦闘中です」という字幕と音だけでOK。(ぉぃ

色気がない

  • 以前も書いたけど*3押井守は色気のある女性を描きたくないのか、描けないのか。
  • 本当に女性にみんな色気がないと思う。
  • 草薙水素草薙素子とキャラ的には同一人物と言い切って良いくらいだし。
  • 押井守はあんな色気のない女性が好きなのか?
  • 娼婦にさえ色気がないってどういうことよ!?

メカについて

  • 戦闘機がレシプロなのは良いのだけど、先尾翼機なのに違和感があった。
  • 原作の設定がそうなのかも知れないけど、もっとオーソドックスなプロペラ機の方が、自分は感情移入できたかも。
  • 戦闘機が架空なのに、車がポルシェなのは納得がいかない。
  • 戦闘機も実在のものにするか、あるいは、車もちゃんと実在しないデザインで作ってくれないとー

映画「スカイ・クロラ」の本質とは?

  • イノセンスで言えば、バトーが自宅に帰ってバセットハウンドにエサをやり、ソファーにどっかと座ってビール(?)の栓を開けて飲む一連のシーン。
  • ああいった、日常の繊細な描写が延々と続き、その間にオマケとして空中戦があるのが、映画「スカイ・クロラ」の本質である。
  • で、空中戦はマーケティング上必要なだけで、映画としては本来不要である。
  • すなわち、日常の描写こそが「スカイ・クロラ」の本質に他ならない。
  • あとは、押井守お得意の無限ループを仕込めば、押井守監督作品の一丁上がり、である。
  • しかしながら、日常の繊細な描写は、本当に繊細に描写されていて、しかも伏線が張られていて、それぞれのカットに意味があり、演出の意図を感じる。
  • なので、どうしても日常の繊細な描写がまた見たくてたまらない。
  • だから観客は、DVDなりBDなりを買わざるを得ない。これが押井守のビジネスモデルの神髄である。
  • まあ、ワシも買うんですけどー(ぉぃ

*1:広島では広島市南区段原に行くことを、ダンバリングと言います。もちろんウソです。(ぉぃ

*2:スク水風の名札でも可。

*3:参照→http://d.hatena.ne.jp/tmx/20080730/1217428407